2020年 10月 07日
福島からの報告損害賠償打ち切り狙いコメ検査縮小
2011年3月の東日本大震災の原発事故から9年が経ちました。福島第1原発は、原子炉を水で冷やし再び爆発しないように応急処置で防いでおり、事故は収束しておらず、当時となんら変わっていません。しかも、1日200トンの汚染水をポンプで汲み出しているため、貯蔵タンクは22年で一杯になり、海洋投棄が漁業団体などの強い反対を押し切って唯一の解決策かのように進めようとしています。また、避難区域への帰還の強制、子供たちの甲状腺がん発症や内部被ばくの現実は深刻です。国や東電、福島県立医大が放射線被害を一切認めないから起こっている矛盾です。
福島県は、2012年より玄米の放射性物質の検査(全量全袋検査)を、主食米・飼料用米・くず米など全ての米を対象に、ベルトコンベヤー式の測定器を使い、そこを通過する数秒間で測定を行ってきました。しかし、避難指示が継続している12市町村を除いて、今年産米より旧市町村(1950年頃の行政区分)ごと3ヶ所の検査(緊急時環境放射線モニタリング)に変えようとしています。
また、水田の土壌より放射性物質を稲が吸収しないように行ってきた吸収抑制対策(塩化カリの散布)も今年から行わない予定でした。しかし、昨年の台風19号で河川から水田に土砂が流れ込んだり、稲刈り後の切わらが流出したり、甚大な被害がでました。そのため、土壌中のカリ濃度の低下と流入した土砂に付着した放射性物質の吸着の懸念から、今年だけは塩化カリの散布を実施することとなりました。土壌中に付着した放射性物質(セシウム)は少し減少したものの、無くなったわけではありません。毎日食べる主食から放射性物質が体内に摂取され、内部被ばくの懸念が大いにあります。
福島県は、原子力災害対策特別措置法に基づき「原子力緊急事態宣言」が出されたままで、いまだに解除されていません。「原子力災害の拡大防止を図るための応急の対策はまだ必要」であり「避難困難区域がのこっている」からです。安倍政権は、放射線量を偽ってまで強行するJR常磐線の全線開通を呼び水に帰還困難区域の避難解除を狙っています。国は、裁判でも放射性物質の農地への拡散の責任を居直っています。コメの検査縮小は「福島のコメは安全」の流れを作り、東電の損害賠償を打ち切りを狙った攻撃です。どこまでも国と東電、県立医大の責任を追及しましょう。
(福島 渡辺)
by nominkaigi
| 2020-10-07 17:52
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