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福島「農地原状回復裁判」を傍聴して

 

去る7月10日、東京電力を相手に農地の原状回復を求めた裁判の差し戻し控訴審の第2回公判が仙台高裁で行われ、福島支部から2名で参加した。今回は、原告2名の意見陳述が行われた。


強者の理不尽に甘んじない

 一人目は、会津地方でコメ作りをしている武田さん。「この裁判の原因は東電だ。もう丸9年たった。塩化カリウムを撒いてもセシウムが無くなる訳ではない。土づくりにこだわり、安心して食えるコメ作りをしてきた者としてはやるせない思いだ。14年10月14日に福島地裁郡山支部に訴えを起こして、この窮状を訴えてきた。郡山地裁では敗訴したが、仙台高裁で差し戻しとなり、自分たちの訴えは間違ってはいなかったと確信した。ところが差し戻し審で福島地裁はそれを認めてくれなかった。浜通り8市町は農地の土壌入れ替えをするのに、同じく他人の土地に勝手に放射性物質をばらまいたのに、それは農民のものだという驚きの判決だった。弱い者が強い者の理不尽に甘んじなければならないのはおかしい。また、トリチウム水の放出について論議されているが、そもそも海に放出するのは不法投棄ではないか。それが福島では特措法で許されるというのも変な話ではないか。裁判所にあってはこれらに鑑み正しい判断を求めたい。」と堂々と訴えました。

迷惑かけ続ける身勝手な東電


 二人目は、大玉村でコメ作りをしている鈴木さんが立った。「原発事故から9年が経ち、私の生活は、原子力災害法を原因とする『緊急事態宣言』と、更にコロナウイルスを原因とした『緊急事態宣言』の、二重の緊急事態宣言下に置かれています。原発事故の被災者である身でありながら、コロナ対策もしなければなりません。経験のない事態が重なり、誰からも適切な助言等はいただけず、大変困難な状況に置かれています。『トリチウム水』の海洋放出問題がマスコミを賑わせています。しかし、この重大な問題について、原発から30Km圏外に居住している私達は、被告東京電力から、何も知らされていません。なぜ福島県沿岸のみからの海洋放出が議論されるのでしょうか。場合によっては『受益者』である東京の、東京湾へタンカー輸送しての放出も当然検討されて然るべきではないでしょうか。被告の言っていた『風評被害対策』はどこに行ったのでしょうか? 後始末のできない一私企業が、未だに国民に迷惑をかけ続けているのはどういうことなのでしょうか?身勝手な被告東京電力の言動は、『もう止めてほしい』と思います。」


 原告ふたりの切なる訴えにもかかわらず、仙台高裁はたった2回で打ち切り、実質審理なしの暴挙です。判決は9月15日(13時15分、401法廷)です。私も、原告農家の思いを我がものとし、不当な判決を許さない闘いを作っていこうと思います。


(福島支部 吾妻)



by nominkaigi | 2020-09-07 15:53 | 反原発