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「コメと野菜でつながろう」の取り組み


コロナで社会の底辺から飢えが広がっている

世話人 小関恭弘(山形県)

 この4~5月は年度初めの会議や飲み会は軒並み中止となり、春作業は順調に進んでいました。5月始め、大野和興さんや上越の天明伸浩さんの呼びかけで各地の農民グループとともに、自分たちが作ったものを困窮する人たちに送ろうというプロジェクト「コメと野菜でつながろう」を立ち上げました。

 「こうしている間にもコメが食えない人が出ている。何のためにコメを作っているのか。ささやかでもコメを届けたい。百姓仲間はみんなそう思っている」(呼びかけ文より)

 「やろうか」ということになり、「コメと野菜でつながる百姓と市民の会」を急きょ作られました。コメ野菜は百姓が提供し、送料は市民グループが出すことに。会の中軸を担った置賜百姓交流会と上越有機農業研究会は2日間で2トンの米を集めました。私も80キロの米を送りました。全国各地の農民から「自分も仲間に」という問い合わせが来ています。

 送り先は、「新型コロナ災害緊急アクション」(野宿労働者や日雇い労働者、職を失った人、シングルマザー、高齢者を支援する活動をしている)と相談し、3つに絞りました。シングルマザーや失業者など困っている人にコメ5キロの緊急支援を始めた「一般社団法人あじいる」。野宿・日雇労働者に対する炊き出しから撤退する団体が多い中で、このままではコロナに感染する前に飢え死にしてしまうと弁当を作り配布している「山谷日雇労組」。野宿者一人一人と細やかに触れ合い、生活と心の支援をしている「きょうと夜まわりの会」です。

 5月中旬、それぞれのグループに毎週コメ40キロを送ることから始めました。 始めてまもなく、緊急アクションの事務局長瀬戸大作さんから、移住者と連帯する全国ネットワークから仕事と居場所を追われた外国人労働者と家族が深刻な状況にあり、コメを送れないかという要請が入り、第一弾として急きょ140キロを送りました。6月には第2弾として300キロから400キロを上越、置賜で送りました。

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 日雇・野宿労働者の仕事づくりで始まった企業組合あうんの協力団体で、食と健康にかかわる活動をしている「あじいる」には、いくつものメールが寄せられています。あるシングルマザーは子どもに食べさせるため自分は1日1食で過ごしているそうです。山谷日雇労組の山崎委員長からは「山谷の労働者にとって、今回のコロナは、働くこと、食べること、一日一日を行きぬくことが非常に困難になっています」というお便りをいただきました。山谷ではいくつものグループが炊き出しをしていたが、人が集まることを避け、どこも休止しているそうです。その中で日雇労組は炊き出しに代わり弁当を作り、配っています。「きょうと夜まわりの会」はおにぎりを作り、配りながらくらしと心のケアをしている。職を追われた外国人労働者は家族や少人数の仲間に分かれてひっそりと過ごしているが、手持ちのお金がつき、食べられない日も多いという。

 私たちの命と暮らしに関心を寄せない安倍政権の姿勢にあきれました。一方で、2ヶ月も3ヶ月も仕事を休み、自宅に引きこもっていて、厳しいながらも生きられる余力と貯えがある人が、これほどいるとは驚きでした。

 この社会では災害や被害はもっとも弱い人たちにしわ寄せされます。コロナ禍でもそれはますます明らかになりました。人が人として生きられる社会へ、生産者である労働者や農民がつながれば十分生きていけます。そのことを示したのが、「コメと野菜でつながろう」の取り組みでした。
(写真は、5月中旬の新潟市内の水田)


by nominkaigi | 2020-07-25 16:00 | 安倍農政批判