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ゆい41号(2019年6月24日発行)

以下のリンクから、PDFファイルでダウンロードできます。
https://www.dropbox.com/s/ufcf8uxcsaqhhkq/yui41.pdf?dl=0


農業破壊と食の安全破壊が一体で進む
世話人 内藤大一(岡山支部)

 無期懲役で44年間獄中闘争を闘い抜いた星野文昭さんが、5月30日急逝した。4月に発見された肝臓がんの摘出手術を受けた直後だった。残念でならない。1971年の三里塚強制代執行阻止闘争を先頭で闘い、同年の11・14渋谷闘争で警察官死亡の報復として、44年間獄中に囚われた。死ぬまで非転向を貫いた大先輩だ。国家権力による星野さん虐殺を弾劾し、星野文昭さんの遺志を継いで労農同盟でプロレタリア革命に勝利することを誓いたい。

西日本豪雨から1年

 昨年7月の西日本豪雨から1年、町内中心部の全域5千戸近くが全壊した倉敷市真備町では、家屋の解体が進み、再建と同時に更地が増えている。国の管理する河川の氾濫に対して、住宅の再建支援はわずかしかない。火災保険の浸水特約に加入していなければ、自己責任での住宅再建となる。天地の違いだ。
 田んぼや用水路のほとんどが復旧し、さいわい今年の田植えは間に合い、この6月末には田植えが終わる。水没した農機具は、国・県・市がそれぞれ3割を負担して、自己負担1割で購入することができた。しかし、高齢により家族に反対され申請を取り下げ、農業を断念した農民も多数いるという。豪雨災害により農家は確実に減少した。

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 日本の農民は、1960年の1454・2万人から、現在すでに180万人を割り込んでいる。しかも平均年齢は66歳を超えている。安倍農政でさらに4分の1の50万人以下にする方針だ。自然災害をも契機に、激しい農民壊滅を行なおうとしている。
 安倍農政が進めるコメの生産コスト4割削減=9600円(60kg)となれば、30
haを家族4人でやっている大規模専業農家でも、1人あたり135万円の収入しかない計算だ。非正規職の労働者がワーキング・プアと呼ばれる以上の、低収入である。

トランプに媚びる安倍

 5月の日米首脳会談の過程で、トランプは「TPPにしばらせない。参議院選挙後8月に発表」と発言した。4月28日付「日本農業新聞」で東京大学の鈴木宣弘教授は、チーズは日欧EPAでTPPを上回る全面的自由化となり、TPP11でバター・脱脂粉乳の輸入枠7万トンが設定されたと指摘している。日米貿易交渉でTPP水準となっても、米国分に加えオーストラリア・ニュージーランドからの輸入で、輸入量は2倍となるのだ。
 BSE(牛海綿状脳症)の月齢制限を20ヶ月から30ヶ月へ緩和し、さらに全面撤廃まで準備している。使用禁止のはずの収穫後農薬も、食品添加物として認められ現在も使われてきたが、表示そのものを撤廃するという。より厳しい日本の基準を、国際基準に合わせようとしている。国際基準が規制にならないのは、新NAFTA(北米自由貿易協定)で明らかだ。遺伝子組み換え作物が基本的に自由化されたの
だ。

ゲノム編集食品、遺伝子組み換え作物の規制緩和

 3月18日、厚生労働省の専門部会で、ゲノム編集技術(遺伝子操作)を使った食品の流通を認めることが決まった(3月26日「日本経済新聞」)。遺伝子の一部を壊して働きを止めるゲノム編集なら、自然交配と同じとみなして、届け出だけで一般に流通できるようにしようというのだ。すでに「肉厚マダイ」「高血圧防止トマト」「収穫増コメ」「毒なしジャガイモ」「アレルギーのない卵」などが開発されている。ゲノム編集技術が誕生してから7年。日本が世界の先頭を走ろうとしている。
 遺伝子組換え作物の耕作面積は2019年に2億ha(世界の耕作面積の13%)に達している(2月17日「日本経済新聞」)。遺伝子組み換え作物に対する抵抗感がヨーロッパと日本で依然としてが強いが、すでにこれだけの規模に拡大している。
 種子法の廃止をはじめ、農業の民営化=資本の農業支配、農民からの収奪は、同時に食の安全破壊として進んでいる。新自由主義は農業を破壊するだけでなく、食料の安全・安心を破壊し、人間生活そのものを破壊している。安倍政権による農業破壊・社会の崩壊を許さず、労働者・農民の団結で新しい社会をつくっていこう。

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自民党の参院選公約を批判する

7月21日投開票の参院選が迫っている。安倍政権への審判と憲法改悪をめぐる大決戦である。
 新潟県(定数1)は、自民党対野党統一の構図となった。自民党は現職の塚田一郎で、今年4月、国交副大臣当時に関門海峡の橋建設で「そんたくしました」と発言し、辞任に追い込まれた人物だ。
 塚田候補のチラシには「田植え後の水田で農民と語る」大きな写真が使われている。農民票を気にしているが、政策は「『コメ・酒・魚』『新潟ブランド』を国内外へ発信します」とだけ。あまり農民に寄り添っているとはいえない。

農民の安倍不支持は強い

農民の安倍政権に対する支持率は39・5%、不支持は60%に近い(4・26農業新聞)。同時期のテレビ朝日の調査では、支持45%、不支持33%だから、極端に不支持が高いことがわかる。
 その最大の原因は安倍農政への不満である。「評価しない68・5%」と圧倒的多数。政権運営に対しても「謙虚でない76・1%」である。「安倍を倒せ」は地の声=全国農民の声である。全国農民会議も、各地で安倍倒せ・安倍農政撤回・改憲反対の取り組みを行なおう。
 こうした農民の怒りに対応して、自民党は一人区対策を強化するという。6月初めに出された自民党参院選公約の農業分野を見ると、「IoT、AI、5Gなどを活用し、農業・医療・教育・観光などの分野でイノベーションを創出する」「TPP等関連政策大綱に基づき経営安定、TAGについては過去の約束が最大限」「スマート農業の推進」とある。

ペテンに騙されない

 TPP断固反対を主張した時と同じ、農民をペテンにかけるものでしかない。
 5月来日時に「日本の7月の選挙後、(日米貿易協議で)大きな数字が予想される」とトランブ米大統領につぶやかれ、TPP水準は破産に直面している。自民党公約は「TPP11や日欧EPA、日米FTAで農産物輸入自由化しても対策をやれば影響が出ない」と言っているに過ぎない。米韓FTA締結によって、韓国のブドウの栽培面積は8年間で37%も減少し、多くの農家が廃業に追い込まれたではないか。影響は確実に出る。

スマート農業に展望なし

 結局、「スマート農業で生産性をあげる」が自民党公約である。苦しい農業経営、いつまで続けられるかと葛藤の日々―こうした全国170万農民にとってスマート農業が実現できると思っているのか?
 自民党公約では農民の現状を打開できない。安倍農政「農業の成長産業化」「スマート農業」を根本から変えるしかない。2007年以来続いてきた参議院選挙での「農民反乱」。今回の参院選でも大きな反乱をつくりだし、安倍・自民党を退陣に追い込もう。(事務局山口)

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G20新潟農相会合の成果はあったのか? 

 G20農相会合が5月11~12日に新潟市内で行なわれました。全国農民会議総会でお世話になっている堀井修さんや伊藤亮司さんが呼びかけた「G20歓迎行動」も行われました(「歓迎行動」については別掲)。G20農相会合はどのような位置づけなのか、新潟会合の成否について検証します。(この文章は3月上旬に新潟百姓塾で伊藤亮司さんが提起した内容をもとに、事務局がまとめました)

そもそもG20農相会合とは

 G20会合は1999年から財務大臣・中央銀行総裁会議として始まります。首脳会合が始まったのは2008年で正式名称は「金融世界経済に関する首脳会合」です。08年リーマンショックが起こり、世界恐慌かと騒がれた時期ですから、世界経済の対策会議でした。
 農相会合は11年のフランス・カンヌから始まります。カンヌでは「自らの国民のために、食料安全保障を確保すること」を確認されました。

明らかになる対立点

 12年に「小規模家族農家の要望に留意しつつ、各国の農業部門での生産性向上に向けた投資を促進」という方向が示されます。
 15年の宣言に「小規模農家や家族農業者」という文言が出てきて、翌年の中国・杭州会合で「家族農家や小規模農家が世界の大部分の農地を経営し、また世界の食料の多くを生産し、そのことが世界の食料安全保障及び社会の安定を支えていることを確認する」と、家族農業・小規模農家の重要性を打ち出します。
 しかし17年ドイツ会合では「食料安全保障と持続可能なフードシステムのための責任ある農業投資」と後退します。18年ブラジルで農相会合はありませんでしたが、首脳宣言で「家族経営及び小規模農家の特有の必要性を考慮し、…革新的または伝統的な農業の慣行及び技術の自発的な利用及び共有を奨励する」としたのです。

対立の背景に新自由主義

 農相会合の対立点が、〔家族経営・小規模農家の保護〕と〔農業への企業投資の拡大で生産性向上〕にあることは明らかです。
 この背景に新自由主義による農業分野への大きな影響があります。20年以上前から遺伝子組み換え技術やF1 作物が急速に普及し、伝統的な農業を徹底的に破壊してきました。ISDS条項や種子法廃止=種の企業独占のように、巨大アグリ企業が全世界の農業を支配しようとしてきたのです。DVD『種子』では、こうした農業支配と対抗する中南米の農民の闘いが出てきます。G20での対立はこうした現場の運動を根拠にしています。

国連の「小農の権利宣言」

 18年12月に国連で画期的な「小農の権利宣言」が採択されます。加盟国に「小農と農村で働く人びとの権利擁護」を義務とするだけでなく、「多国籍企業や営利企業体などに規制する立場から必要な措置をとる」ことを盛り込みました。多国籍企業・大資本に対して「小農(農民)の生きる権利」を明確にしたのです。
 残念ながら日本政府はこの決議を棄権し、現在農水省は「小農というのは途上国の農民のことであり、兼業農家は小農ではない、大規模農家は小農ではない」と難癖をつけています。

新潟農相会合は噴飯もの

 新潟会合の3つのテーマ(「次世代の農業を担い革新をおこす人づくりと新技術」「フードバリューチェーン全体に着目した農家等の収益向上策等」「SDGsの達成に向けた関係者の対応方法」)の分科会は非公開。目立ったのは「スマート農業」=農業への投資拡大のオンパレードです。新潟会合は、これまで積み上げてきた争点にはまったく触れずに閉幕したのです。
 農民の生きられない現実は、全世界で共通です。資本が進める農業=安倍農政に対抗するビジョンを、私たち農民も持つ必要があります。農民の誇り・食料生産を担っている誇りをもって、自らの権利を要求していきましょう。

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G20農相会合に「歓迎行動」を開く(新潟) 

 新潟市で開かれたG20農業大臣会合に、元全国農協中央会長萬歳章さんを呼びかけ人代表にして「歓迎行動」を行なった。萬歳さんは歴代の会長で初めて官邸から首を切られた人。彼は「食料自給率38%は低すぎる。日本は食料主権を放棄している」と呼びかけ、これに応えて保革を問わず賛同者が集まった。
 行動の第1弾は、4月26日の集会と街頭アピール、70名が集まりました。
 「企業農業は利益のみ求め、集落を全く考えていない」「棚田が放棄されれば下流は洪水だ」「国連の方針を支持する。昨年7500円が廃止され、大規模ほどこたえたはず」「日本最大のコメ産地はMA米78万㌧だ」「米をたべる事が農業を救う。小麦を年間59Kgも食べている」と、さまざまな意見が出された。
 横断幕とムシロ旗を立てて、新潟駅万代口で訴えた。地球で生産される農産物を人口70億人で割ると1人当たり300kgになる。それでどうして8億人も飢餓が出るのか?
 第2弾は、5月26日に「食料・農業シンポ」を新潟市内で開催し、150名以上が参加してくれた。
 呼びかけ人を代表して萬歳さんは、「(全中会長の時)目標自給率45%はおかしいと主張したが、聞き入れられなかった。国民の80%が自給率に不安を持っている」と訴えた。記念講演の石井勇人さん(共同通信)は、「農業を成長産業にするのは不可能だ、工業とは仕組みが違う。日欧協定はISD条項を排除している。固執する日本政府は時代錯誤だ」と批判した。

笑って暮らせる農村に

 その後のシンポで、私はコーデネートを務め、以下のことを確認したと思う。
○10年後の農村は崩壊の可能性がある。強い農村より笑って暮らせる農村にしなければならない。
○新潟の食の底力。家庭菜園を見ているとロシアのダーチャのように、隠れた自給率となっている。
 「歓迎行動」を通じて感じたのは、持続可能な農業はAIでは実現できないこと。家族農業は日本97%、EUは96%、アメリカでも98%である。日本では10haでも食べて行けないが、40haでは一千万円の赤字だ。小規模で集落を大切にする農業にこそ、未来があると考える。(小千谷支部・堀井)

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辺野古の工事をやめろ
「闘えば勝てる」ーゼネストで止めよう
5月18~20日 沖縄闘争の報告

 5月20日午前7時30分、全国から集まった労働者・学生など120人が名護市辺野古の弁軍キャンプ・シュワブのゲート前に到着。座り込みを開始する前に、現地で座り込みを続けている人から説明を受け、土砂・資材が1日3回ダンプで運び込まれていること、多くの人が座り込めば排除するのに時間がかかり搬入作業が中止に追い込まれること、不当な弾圧を許さず1分1秒でも工事を遅らせるためにがんばろうと、意思一致した。
 9時過ぎ、ゲート前の座り込みを開始、やがて大型ダンプが次々と現れ、20台ほどが列をなした。小雨が降る中、にらみ合いが続く。東京交通労働組合などの120人も座り込み合流。
 そして午前10時ころ、機動隊が姿を見せることなく、搬入作業を断念に追い込んだ。退散するダンプにシュプレヒコールを浴びせ、参加者は「工事を止めたぞ」「団結すれば勝てる」と大きな歓声をあげた。

新基地反対訴え国際通りデモ

 18日午後4時、沖縄県庁前広場に労働者・学生・農民が集まり、集会後に国際通りデモを行なった。途中、右翼が妨害を繰り返したが、「71年基地労働者のストが基地を止めて戦争を止めた」「辺野古新規地建設ゼッタイ反対」の訴えが響き渡った。沿道からは拍手と歓声が絶えなかった。デモに飛び入りが相次ぎ、参加者は180名に膨れ上がった。

新たな地平切り開いた集会

 夕方からの「復帰」47年5・18沖縄集会は、沖縄県青年会館の大ホールに200人が参加。立ち見も出るほどの盛況だった。
 メインの講演は、「チーム緑ヶ丘1207」と糸数慶子参議院議員のおふた方。「チーム緑ヶ丘」のお母さんの発言は、参加者に新鮮な感動とある種の衝撃を与えました。(紙面の都合で「チーム緑ヶ丘」のみ一部掲載)
 基調報告は、沖縄大学自治会の赤嶺知晃委員長が行ない、「沖縄で予想を越える決起が始まっている。諦めを煽っても、自分が主体となる闘いが始まっている。沖縄は変わった」と提起、この間の沖縄情勢を「新たな闘いの時代の到来」と、若者らしく戦闘的に提起しました。
 そのほか、動労千葉の関和幸さんや基地労働者の水島満久さん、全学連の高原恭平委員長がそれぞれ決意表明を行ないました。
 安倍政権の辺野古新基地建設の暴挙に対して、沖縄と本土の闘う仲間が団結して、闘い抜いた今年の沖縄闘争は実に画期的でした。今回の闘争には、全国農民会議福島支部から斎藤栄一さんと吾妻和位さんが駆け付けてくれました。ありがとうございました。(沖縄支部 山城)

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「チーム緑ヶ丘1207」(緑ヶ丘保育園の保護者)の発言

 米軍が関与を否定した後、『自作自演だろう』『子どもをダシに基地反対するな』と攻撃された。上京し政府に言っても『米軍からの回答待ち』の答え。この理不尽さ、不平等さに、これまでの日常がおかしかったんだと気づいた。事件や事故は基地が近いからではありません。辺野古に移っても危険性は変わりません。空はつながっています。携帯メールで事故を知った時、頭は真っ白、体が震えた。宜野湾で育ち基地は当たり前、怖いとか違和感を持ったこともなかった。沖縄は頑張って声を上げている。子どもたちの問題解決のために一緒に考え、力を貸してください。魔法が解けたように、危険な所だったのだと気がつきました。これは沖縄だけの問題ではありません。日本全体の問題です。
 *2017年宜野湾市の緑ヶ丘保育園で円筒形の落下物が発見され、保護
者たちが真相究明に立った


斎藤栄一さんの沖縄報告

 6月16日、福島市内で行なわれた沖縄映画上映会(福島支部の賛同)で、世話人の斎藤さん(いわき市)が沖縄現地に駆け付けた闘いの報告を行ないました。(以下は発言要旨)
 自分は40年ほど前に沖縄で闘い、その中で沖縄がいかに米軍と日本政府とによって蹂躙されてきたのかという歴史を目の当たりにした。その中で全軍労の水島さんはじめとした闘う人々とともに頑張った。今、求められているのは水島さんのように労働組合で団結して闘うことだ。自分は福島の地で農民として、その闘いに応えてともに頑張っていかなくてはならないと改めて考えている。ともに頑張りましょう。

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樫の木まつりから10・13現地集会へ

 成田空港会社は、2003年、市東さんの耕作地の底地を旧地主から買収したと主張し、明け渡しを求めました。06年から裁判が始まり、農地法裁判と呼ばれています。
 本来農民の権利を守るべき農地法を盾に、農地明け渡しを求める空港会社。土地買収の証拠の偽造、数限りない違法を不問にして、最高裁は農地明け渡しの判決を下した。判決の執行止めるための請求異議裁判が東京高裁で争われています。
 判決は市東さんに「離作補償1億8千万円を受け取り、農業をやめて出て行け」と命じましたが、市東さんは「この地で農業を続ける。1本100円の大根をつくる方が大事。それが私の生き方」と語り、農地強奪と闘っています。
 6月30日の樫の木まつりをステップに、10月13日の現地集会を成功させましょう。


○東京高裁あての要望書と400万円カンパにご協力ください
 全国の農民のみなさんのご協力をお願いします。


「スマート農業」って誰のために

 G20農相会合では「あらかじめ対立する問題を避け」(関係者)、スマート農業が強調された。会合終了後、新潟市内の田んぼで自動運転田植え機の実演を行ない、魚沼産コシヒカリのおにぎりをふるまう「おもてなし」ぶりだ。安倍政権の重要政策の宣伝の場でしかなかった。
 地元紙の新潟日報が主催する関連シンポ(5月11日開催)に参加した。市民1 00人と関係者100人以上と会場は盛況だったが、シンポの内容はクボタとJAXA(宇宙航空研究開発機構)のためのシンポに過ぎなかった。農民からの視点などほとんどない、ドラマ「下町ロケット」の世界だった。
 クボタが自動運転トラクターを1500万円で販売している(シンポでは担当者は1100万円とリップサービス。別に基地局設置に200万円かかる)。肥料・農薬散布のドローンは20 0万円と説明すれば、JAXAも「人工衛星からの位置情報などを活用して農業収入アップして欲しい」と、ばら色の夢を振りまく。
 「年に数回しか使わないのに、どれだけの農民がスマート農機を買えるのか」とあきれ果てながら聞いていると、シンポの提起者になっていた新潟大学の伊藤亮司さんが的確に批判した。「新潟県内の農家の平均所得は百数十万円でしかない」と、果たして現場の農民の手に自動運転農機やドローンが届くのだろうか?
 「スマート農業」が高齢化・人手不足の農業の手助けになることは間違いない。しかし、資本主義である限り、資本(農機具メーカー)の金儲けのための「スマート農業」に過ぎない。農民は、借金を増やして機械化に踏み切るか、機械化を断念=農業も断念するかしかないのである。(事務局・山口)

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by nominkaigi | 2019-06-24 21:12 | 記事