以下、全国農 民会議の共同代表、鈴木光一郎さんの発言です。
岸田政権は、来年の春にトリチウムなどが入った汚染水を「安全だ」と言って海に流そうとしています。しかし、内部被曝を覚悟しながら、しぶきを浴びながら11年間も我慢してきた漁師の人たちが負けるはずがありません。私たちはあの人たちと徹底的に連帯して闘います。ここから500㍍離れた祈念式会場にいる岸田を徹底的に弾劾し、原発事故の責任を取らせなければなりません。今日を出発点に新たに挑戦し、断固前進しましょう。
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日本原での米海兵隊の単独訓練に抗議
陸上自衛隊日本原演習場で3月15日から28日まで2週間、米軍岩国基地所 属の海兵隊による単独訓練が行われた。岡山支部は、改憲・戦争阻止!大行進岡山の仲間とともに訓練反対を訴えて、2月11日デモ行進、さらに3月14日に抗議の申し入れを行った。
海兵隊単独の訓練は、2018年10月以来3回目で、マシンガンによる実弾射撃やヘリパッドを敷設し、ヘリ着陸訓練などを行ったと報道されている。「同盟の再構築と世界への関与」をかかげる米バイデン政権は、3月16日に日米の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を開き、「自由で開かれたインド太平洋」を掲げ、中国・朝鮮侵略戦争のための「世界的な戦略体制の見直し」を確認した。
岩国基地強化と一体の実践訓練
辺野古新基地建設と一体で、岩国基地が朝鮮侵略戦争の出撃基地として強化されている。米海兵隊の単独訓練は、中四国地方の山間部で繰り返されている低空飛行訓練、オスプレイの使用と一体の実戦訓練である。
毎年行われている日本原共闘会議の現地集会がコロナ感染拡大で中止となるなか、大行進の仲間と議論し、菅政権打倒を掲げ2・11デモをやり抜いた。そして今回抗議の申し入れを行った。官房長官時代の14年に菅は、自衛隊の招待により来日したミャンマー国軍司令官と懇談し、ODA援助と日本企業進出の協力を約束した。日本原演習場が再び日本帝国主義の侵略戦争の拠点となることを許さない決意で、演習場内の農地を守り抜いて闘いたい。
(岡山支部・内藤)
農業が悪者にされるSDGs?
北国の春は駆け足で来る。実家は果樹農家だった。子どもの頃、春休みは剪定した枝を拾い集め、燃やすことが日課になっていた。ラジオからは甲子園の高校野球が流れていた。
最近知った話では、この枝焼きが問題になっているらしい。二酸化炭素を排出するからと。山梨大学は県との共同研究で、剪定した枝の炭化を行なっているという。SDGs(持続可能な社会)の一環らしい。しかし昔より枝焼きが増えているのだろうか。
最近のベストセラー『人新世の資本論』(斎藤幸平著)の冒頭に、「SDGsはアヘンである」と指摘し、気候変動対策の根本的問題は資本主義体制そのものを変更することと言い切った。なるほどと思う。
ヨーロッパでは昨年夏~秋に、畜産業が二酸化炭素を排出しているとの政策転換に反発して、農民デモが闘われた。「牛のゲップで地球が温暖化している」―とんでもない論理だ。もっと他のところに原因があるだろう、言いがかりもはなはだしい。農民たちが怒るのは当然だ。
日本の農民も時流に流されすぎてはならない。社会の生産活動を担っているものとして、言うべきことは口に出していくことが必要だと思う。何から何まで儲け第一で、私たちの社会は成り立つのか、そのことを考えるときに来ている。
生き残るべきは安倍農政なのか、日本の農業・農家なのか!
安倍首相は8月28日、持病の再発を理由に突然の辞任表明を行なった。「歴代最長政権」「安倍一強」と呼ばれてきた安倍政権が瓦解した。改憲攻撃も後退せざるを得ない。しかし「森友」「加計」「桜を観る会」「黒川検事長定年延長」「河井夫妻選挙違反」など、腐敗と私物化、えこひいきの国家的犯罪行為はお咎めなしなのか! そんなことはおテントウさまが絶対許さないだろう。
特に、私たちにとっては8年間の安倍農政を全面的にひっくり返すことが重要だ。菅新政権は「安倍路線の継承」を掲げているが、安倍農政を継承されたらたまったものではない。安倍農政で日本の農家が、農村が、地域社会がどれだけ疲弊したか。その全部をひっくり返すことが重要だ、全国の農民の団結で安倍農政を丸ごと葬り去ろう。
コロナ禍で米価が下落
農家廃業、企業倒産、失業が広がる
コロナ禍でこれから影響がジワリジワリと深刻になっていくだろう。解雇者が5万人を越えた(氷山の一角)、中小企業の倒産、との報道がされている。農家も同じだ、コロナの影響を機に廃業する仲間が増えるのではと心配している。
政府はコロナ対策として、農業関係として200億円の補正予算を組んだ。その中心施策が「持続化給付金」での農家や農業法人への支援である。1農家に100~200万円の給付を行なうものだが、要件が厳しいと評判が悪い。
説明会で担当者が「全国で2万件の申請があると見込んでいるが、100件に1件しか通らない」と発言していたと、仲間が報告してくれた。まったく当てにできない。苦しい人が使えない制度では意味がない。政府は本気で農家を支援する気はあるのか。
一方で、自民党の広告宣伝を一手に担う、電通が関連会社をつくって「持続化給付金」の事務手数料を何10億円と中抜きしていたことを聞くと、腹の虫が治まらない。
農家が生産できる保障を
8月の世話人会議で、コロナ禍の状況で全国農民会議がどのように運動するのかが話し合われた。「生産原価割れになっている現状を変えないと」「農家が再生産できる保障をしろ」「価格補償・所得保障を堂々と求めていこう」が結論であった。
コロナだから苦しくなっている訳ではない。それ以前から全国の農民は二進も三進もいかない状態になっていた。その根本にある安倍農政を変えることが一番の課題である。
農家は「エッセンシャル・ワーカー」
コロナ禍で「エッセンシャル・ワーカー」という言葉が注目を集めている。エッセンシャル=本質的・必須不可欠という意味である。社会を成り立たせている基本的な労働、たとえば医療、介護、教育や保育、清掃などを担う労働者のことを言う。
農家、農業従事者も「エッセンシャル・ワーカー」である。社会に必要な食糧を生産している存在だ。食糧無くして人間も動物も生存できない。新自由主義を推し進め、食糧の生産者である農民を生きられない状況まで追い込んできた。こんな社会こそ本末転倒なのだ。
まともな社会、人間が豊かに生きられる社会を実現するために、「エッセンシャル・ワーカー」である農民が声を上げよう!
(事務局)